第100回甲子園高校野球において、
秋田県代表の金足農業高校が劇的なサヨナラ
でベスト4に進出しました。
秋田県はコメと酪農の割合が大きい
農業が主要産業である地域です。
常に自然と向き合う農業のあり方が、
人を真摯にし、
他人や地域との協働を必須にし、
人に優しくなる人材を育てます。
金足農業高校生たちを見ていると、
自己利益でなく、人にために「常に全力!」
という農業高校独特な精神文化に満ち溢れて
います。
彼らの試合終了後の校歌斉唱において、
激闘で疲れ切っているにも関わらず、
選手全員が身体がエビ反りになるほど、
全力で歌う姿が、
普段から農業と真摯に向き合っている
農業高校生らしく、とても清々しく、
素晴らしい感動を与えてくれます。
アルプススタンドや地元で応援する全ての
人たちが、地域を挙げて地域を心から愛し、
誇りに思っている様子が、実に見事に
伝わってきます。
今の日本は政界、財界、役所、教育など、
いわゆるエリートと言われている人たちが
主体となって運営している様々な分野で、
信じられなく唖然とする失態が噴出して
います。
日本だけでなく、世界中で今までの権力構造
や、既得権益ありきの構造が、溶け出し始め
ています。
これからは一握りの権力者や既得権益者に
富を集中させる競争利益主義主体の
社会構造ありきではない、日本人
独特な「共存精神文化主義」ありきの社会
構造に変容していくべきだと思っています。
日本人は、縄文時代からコメと大豆を育て、
自然や国土や他人と、農耕を通じて共存して、
自らの命と健康を守ってきました。
この日本人オリジナルの精神文化が、
73年前に戦争に負けてから今日までの間で、
最も失ってしまったものの一つであり、
この失ってしまった精神文化こそが、
これからの日本をあらためて構築していく
ための、必須なものではないでしょうか?
宇宙大豆教育プロジェクトで全国各地の農業
系高校を足掛け3年にわたって巡ったとき、
受験校出身で東京生まれ東京育ちだった
我が身の今までの人生観が、
農業高校とのふれあいをきっかけとして、
180度変わってしまった経緯があります。
宇宙大豆教育プロジェクトが無かったら、
進学校出身という人生観が全てを支配し、
エリートが日本を支えていく、という
考え方のまま生きてきたと思います。
日本だけではなく、世界中で従来型の社会
構造が溶解してきた今だからこそ、
受験校からエリート官僚や大企業に就職する
という従来型の価値観を払拭し、
あらたな日本人オリジナルな社会構造を創出
する時期が来ていると痛感しています。
農業高校生にイジメはありません。
途方もない大自然や、生きているものと
真摯に向き合う農業は、
人に対する思いやりの概念を構築するのです。
自然に対する真摯な姿勢は、
どんなことでも受け入れる極めてダイナミッ
クな人間性を構築します。
金足農業高校生の真摯で全力で校歌を
斉唱する姿と、
地域を挙げて一つになる姿こそ、
これからの日本の復活に必要な
日本人オリジナルの精神文化であると
思います。
「協働」の概念を皆で構築・共有していく
ことこそが、腐りきった現在の日本の社会
構造の膿を出し、修正する手段だと思います。
日本の修正は地域からであると確信
するほど、農業高校生やその地域から、
元気をもらいました。
準決勝、決勝までコマを進めていくよう、
応援していきたいと思っています。